健保と国保のちがい 国民年金と厚生年金のちがいへ
社会保険への加入は、本来はその人の身分によって健康保険に入るか国民健康保険に入るかが決まるものです。しかし、転職を控えている人や、退職後に健康保険の任意継続と国民健康保険とを選ばなければならない人などは、この「どちらがお得か」で、悩まれるかと思います。
そこで、健康保険と国民健康保険の違いについて説明します。
健康保険
社会保険庁が運営する健康保険制度で、一般名詞である健康保険と区別するために政府管掌健康保険(政管健保)と呼ばれる事があります。勤め人で一定の条件を満たす人は必ず加入しなければなりません。保険証の発行者は社会保険事務所になります。
健康保険組合
会社や業界団体が社員のために独自に運営する健康保険制度です。政府管掌健康保険の民間版なので、制度の中身は政府管掌健康保険とほぼ同じですが、微妙な所で各組合毎に少しずつ違いがあります。保険証の発行者は健康保険組合になります。通常は、政府管掌健康保険と健康保険組合をひとまとめにして健康保険と呼んでいます。
国民健康保険
市町村が運営する健康保険制度です。上記の健康保険に加入していない人は、必ず加入しなければなりません。制度はほぼ全国共通ですが、微妙な所で各市町村毎に違いがあります。保険証の発行者は市町村になります。
給付の違い
かつては健康保険で診療所へ行くと自己負担がなく、健康保険がある会社に勤める事がひとつの誉れやあこがれになっていました。しかしその後、健康保険でも自己負担を払わなければならなくなり、その自己負担率も徐々に上がり、今では国民健康保険と同じ3割を払わなければならなくなりました。国民健康保険との最大の違いが、今ではなくなってしまったのです。
現在、わずかに残っている健康保険と国民健康保険の違いは、次の通りです。
傷病手当金
健康保険には、治療のために仕事を休んだ場合は、4日目から最大1年半の間、給料の6割が支給されます。国民健康保険は自営業のための保険と言う建前なので、給料の補償はありません。
傷病手当金は、普段は滅多にお世話になるものではありません。しかし、いざ大病をすると、こんなに助けになる給付はありません。
出産手当金
健康保険には、出産のために仕事を休んだ場合は、予定日の6週前から出産日の8週後まで、給料の6割が支給されます。国民健康保険にはやはりこの補償はありません。
市町村によっては、もしかしたらこれらの給付があるかも知れません。
この他にも、死亡した際のお葬式代の計算方法などに違いがあります。
健康保険を抜けた後でも、6か月以内に出産すれば、健康保険から出産手当金や出産育児一時金がもらえる場合があります。ただし、出産日が脱退後6か月+1日ではもらえないので、重々注意が必要です。
出産育児一時金は、健康保険でも国民健康保険でも同じ様に支給されます。
保険料の違い
健康保険
健康保険の保険料は、皆さんの給与明細を見ての通りです。
社会保険事務所に届けられている皆さんの給料の額の、4.1%が保険料となります。(任意継続の人は、会社をやめる直前の給料の8.2%か、22,960円のどちらか低い方になります)
40歳以上(65歳未満)の人は、介護保険料として、0.625%がプラスされます。
皆さんの給与明細に書かれている金額と同額を、会社が払ってくれています。(だから、任意継続をすると、保険料が倍になってしまいます)
国民健康保険
国民健康保険の保険料の出し方は、市町村によって全く違います。
次の項目を組み合わせて保険料を算出するのが基本になっています。
【所得割】
前年の所得に対して○○%(健康保険証に名を連ねる人の所得の合計から計算します)(前年に高級取りだったり退職金をもらったりしていたら、大変な事になります)
【資産割】
土地や建物などの資産に対して○○%(健康保険証に名を連ねる人の資産の合計から計算します)
【均等割】
各世帯で均一に○○円(国民健康保険は世帯毎に加入します。その基本料です)
【人数割】
一人当たり○○円(国民健康保険には扶養と言う概念がありません。赤ん坊でも老人でも、ひとりとして数えます)
これらをどの様に組み合わせるか(大抵の市町村は3つか全部か、です)、それぞれの料率をどうするかが、市町村によって千差万別です。
ですから、国民健康保険に入ったとしたら保険料がいくらになるのかは、市町村役場へ行って試算してもらわない事には全くわからないのです。(よく耳にする「高級取りだと2倍になる」などの俗説を信用しないで下さい。本当に試算しないとわからないのです)
国民健康保険は、以上の通りの保険料算出の仕組みを持っている事から考えれば、一般的には、土地建物持ちである人や、扶養家族がいっぱいいる人などは、どちらかと言えば健康保険の方が安くなる傾向にあり、アパート暮らしの一人暮らしだと、どちらかと言えば国民健康保険の方が安くなる傾向にあります。
これにプラスして、健康保険同様に、40歳以上(65歳未満)の人は、介護保険料がプラスされます。
介護保険の保険料も、市町村によって全く違っています。
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