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会社の種類と選び方 |
会社の種類には、株式会社のほかに、民法上の組合に近い組織形態である合名会社、合資会社、合同会社があります。合名会社、合資会社、合同会社を総称して持分会社といいます。
有限会社は廃止され、会社法施行前に設立された有限会社は特例有限会社として存続することとなります。
会社の種類は、出資者の責任の態様、会社内部の意思決定、利益分配の規制により分類されます。
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法人形態 |
株式会社 |
持分会社 |
株式会社 |
特例有限会社 |
合名会社 |
合資会社 |
合同会社 |
出資者 |
株主 |
社員 |
(無限責任)社員 |
無限責任社員
有限責任社員 |
(有限責任)社員 |
役員 |
取締役(場合によっては執行役・監査役・会計参与) |
取締役 |
(無限責任)社員 |
無限責任社員
有限責任社員 |
(有限責任)社員 |
出資者の
責任の範囲 |
間接有限責任 |
間接有限責任 |
直接無限責任 |
直接無限責任社員
直接有限責任社員 |
間接有限責任 |
最高意思
決定機関 |
株主総会 |
社員総会 |
社員 |
無限責任社員 |
社員 |
内部関係の
規律 |
内部関係の規律は厳格で
あるが、商法時代に比べ、
定款自治の原則が拡大し
ている。 |
定款自治が原則であり、民法上の組合の
規律が適用される。 |
定款変更 |
株主総会の特別決議が必要 |
社員総会で総社員の半数以上で、かつ、総社員の4分の3以上を有する者の同意が必要 |
総社員の同意が必要 |
決算広告 |
必要 |
不要 |
不要 |
役員任期 |
原則
取締役は2年、
監査役は4年。
ただし、公開会社でない場合は、定款により最大10年まで伸張することができる。 |
無し |
定款認証
費用 |
9万円 |
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定款認証は不要 |
登録免許税 |
最低15万円 |
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6万円 |
会社の種類の選択 |
POINT
会社法では株式会社における最低資本金制度がなくなったので、株式会社設立へのハードルは低くなりました。
持分会社では定款の認証がなく、登録免許税が安いので経済面・手続の簡便さという有利さがあります。
持分会社における無限責任社員の外部に対する責任は直接無限責任ですので、合同会社以外の持分会社による設立の場合、「責任」という観点からは、会社設立のメリットはありません。
会社の種類の選択にあたっては、内部関係の規律からも考慮が必要です。 |
設立コスト・設立手続の簡便さ
設立コストや設立手続の簡便さの観点からは、株式会社よりもむしろ持分会社が選好されます。
@持分会社では、株式会社で必要になる定款の認証、出資の引受け、
株式発行事項の決定、設立時役員の決定の手続が不要です。
A株式会社では定款の認証費が9万円必要ですが、持分会社では不要です。
会社設立登記申請に必要な登録免許税も、株式会社では最低15万円
必要ですが、持分会社では6万円です。
対外的責任
株式会社では出資者の責任は、株式の引受価額を限度とする間接有限責任です。他方、持分会社での出資者の責任は、無限責任社員の場合には直接無限責任となり、有限責任社員の場合は直接有限責任となります。
出資者が会社と直接無限責任を負うことは、会社債務に係る責任が会社段階で切断されることなく、事実上、会社と出資者と同等の立場に立たされていることを意味します。したがって、会社が何らかの形で債務弁済できない場合には、出資者に直接弁済請求がくることとなります。無限責任社員の場合、会社に対する責任追及と個人に対する責任追及とが切断されない不利が生ずることになります。 |
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