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改正民法 ③
 不動産賃貸業に影響を及ぼす諸改正

 今回の民法改正では、不動産賃貸業に影響を及ぼす様々なルール変更が行われますが、その主なものは、1)個人保証人の保護ルールの強化、2)賃貸借物件の修繕に関するルールの明文化、3)賃貸借終了時の借主の原状回復義務(通常損耗等を除く)の明文化、4)敷金の定義と返還時期の明文化です。
 これらの改正事項について、簡単に見ておきます。

(1)個人保証人の保護ルールの強化
  現行民法の規定は?
 建物賃貸借契約においては、借主による家賃の滞納や賃借物件の損傷等の損害をカバーするために、連帯保証人を求めるのが通例です。この場合の連帯保証人が負う責務(保証債務)について、保証の上限を保証契約に定めることは、現行の民法では義務づけられていません。
 しかし、借主が、長期にわたって家賃を滞納した、あるいは故意や過失で賃借物件に多大な損傷を与えた、賃借物件内で自殺したために貸主に大きな損害を与えた場合などで、連帯保証人が予想外に多額の損害賠償を求められることも考えられます。

 改正民法ではどうなる?
① 保証契約に「極度額」の定めを義務づけ
 今回の改正で、建物賃貸借契約において生ずるような不特定な債務の保証人が法人ではなく、個人である場合は、保証契約に「極度額」(保証の上限)を定め、かつ、書面等で契約を交わさなければ無効となると定められました。
 例えば、極度額が「50万円」と定められている場合、借主が賃借物件に100万円の損害を与えたとしても、保証人は50万円までしか保証債務を負わないということになります。
     

② 個人保証依頼時の情報提供を義務づけ
 事業用資金の借入れや事務所等の事業用物件の賃貸借など、事業のために生じる債務の個人保証を依頼するときは、債務者(借主)は、その依頼相手に対して、債務者の財産や収支の状況等を説明することが義務づけられました。
 この情報提供義務を怠った(情報提供をしなかった、あるいは虚偽の情報を提供した)ために、個人保証の依頼を受けた者が誤認し、それによって保証人となった場合に、債務者が義務を怠ったことを債権者(貸主)が知っていた(又は知ることができた)ときは、保証人は保証契約を取り消すことができることになっています。
        



(2)賃貸借物件の修繕に関するルールの明文化
  現行民法の規定は?
 賃貸借物件の修繕に関して、現行民法は、次の3点を定めています。
 イ.貸主の修繕義務
 ロ.借主が支出した修繕費用の請求権
 ハ.賃借物件の修繕が必要な場合の借主による通知義務

 改正民法ではどうなる?
① 貸主の修繕義務の対象から「借主の責任で必要となった修繕」を除外
 賃貸借物件に修繕が必要となった場合、基本的に貸主に修繕義務があることは当然ですが、借主が故意に物件を傷つけた、あるいは借主の過失が原因で物件が損傷を受けた場合は、貸主は修繕義務を負わないとする明文規定が現行民法にはなく、この点は必ずしも明らかではありませんでした。
 そこで、今回の改正で、借主の「責めに帰すべき事由」(故意や過失)によって修繕が必要となった場合は、貸主は修繕義務を負わないことが明記されました。

② 借主の修繕権を認める規定の新設
 現行民法では、借主が自ら費用を支払って賃借物件の修繕をした場合に、その費用を貸主に請求できる権利が認められているにもかかわらず、借主自身が修繕を行うことを認める規定がありません。
 そこで、次のa又はbの場合には、借主が修繕をすることができる旨を定めた規定が新たに設けられました。
 a.修繕が必要であることを借主が貸主に通知し、又は貸主が修繕の必要を知ったにもかかわらず、貸主が「相当の期間」内に必要な修繕をしないとき
 b.急迫の(せっぱつまった)事情があるとき

(3)賃貸借終了時の借主の原状回復義務(通常損耗等を除く)の明文化
  現行民法の規定は?
 現行民法では、賃貸借契約が終了したら、借主は、賃借物件を原状に復して(戻して)貸主に返還しなければならないとされています。これを「原状回復義務」といいますが、「原状に復して」とは具体的にどういう状態に戻す(復旧させる)ことをいうのか、すなわち、原状回復義務を負う範囲については明らかにされていません。

 改正民法ではどうなる?
 今回の改正で、借主は、入居後に賃借物件に生じた損傷がある場合は、賃貸借契約が終了したら、その損傷を原状に復する義務を負う(復旧・補修に要する費用を借主が負担する)ことを定めた規定が設けられました。
 ただし、原状回復義務を負う損傷の範囲から、次のA及びBは除外されています。

     
  A経年変化
   ▸使用する・しないに関係なく、時の経過とともに
    生じる劣化(自然に痛んでいく部分)
  B通常損耗
   ▸常識的な使い方(通常の使用)によって
    生じた損耗(価値の減少)

 これにより、日照等の自然現象によるクロスの変色やテレビ・冷蔵庫等の背面の電気ヤケといった経年変化・通常損耗(以下、両者を併せて「通常損耗等」と表記)については、原則として、借主は原状回復義務を負わない(その復旧等の費用は貸主が負担する)ことが明らかにされたわけです。
 つまり、借主が現状回復義務を負う(その復旧等の費用は借主が負担する)損傷とは、次のa、bのような「通常の使用に反する(通常の使用を超えた)使用による損傷」ということになります。

 a借主の故意・過失による損傷
  〔例〕イライラのあまり襖(ふすま)を蹴とばして穴を開けた、
     うっかりタバコを落として畳が焦げた。                                         
 b借主として社会通念上要求される程度の注意を
 怠ったために生じた損傷(善管注意義務違反による損傷)

  〔例〕賃貸住宅の入居者が普通やるべき掃除をしなかったために、
     退去時に特別の掃除をしなければ取れないような
     カビや汚れを生じさせた。

     

 
(4)敷金の定義と返還時期の明文化
  現行民法の規定は?
 現行民法では、敷金の定義や借主に返還すべき時期など、敷金に関する基本的な事柄は明らかにされていません。

  改正民法ではどうなる?
敷金の定義が明らかに
 今回の改正で、敷金とは、1)いかなる名目によるかを問わず、2)滞納家賃や借主の故意・過失によって必要となった修繕費など(貸主に弁済しなければならない金銭債務)に充当する目的で、3)借主が貸主に交付する金銭、であることが明文化されました。
 「いかなる名目によるかを問わず」と規定されたことから、敷金以外の名目(保証金など)で交付される金銭についても、貸主に対する金銭債務に充当するためのものであれば、今回、明文化された敷金に関するルールが適用されることになります。

退去時の敷金返還が原則に
 貸主は、次のイ又はロの時点で、受領している敷金の額から、借主から支払を受けるべき金銭債務の額を差し引いた残額を、借主に返還しなけらばならない旨が定められました。

  賃貸借契約が終了し、かつ、賃貸借物件の返還を受けたとき
  借主が適法に賃借権を譲り渡したとき


 

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